一人二役で挑む文法リバーシ:ユーザーズガイド01

一人二役で挑む文法リバーシ:ユーザーズガイド01

文法リバーシを一人二役で擬似的にプレイしてみました。オーソドックスな使い方の流れを説明しながら、気づいた点をシェアします。

大前提として、リバーシのルールを守りながらカタルタの取説文を成り立たせるようにカードを配置していきます。意味の通しようのないカードしか手元にない場合は、リバーシのルールを優先させてゲームを進めます。

まず白黒2枚ずつ選んで版の中央に配置。ここでは、なんとなく気になった言葉を組み合わせました。2枚のカードの選び方はプレイヤーの意図によって違ってくるため、最初の見どころと言えるかもしれません。


リバーシのルールに従って、白は黒を、黒は白を挟める位置にカードを配置していきます。


ここまでは、横読みで「話の結末を シャッフルする」の一文がピカイチかなと思います。いくつも出し合った結末の案をシャッフルしたら何かが起こりそうです。もちろんこれは、カタルタの使用法の「全体」ではありませんが、体験の肝になりそうな「部分」になりえる気がします。

ピカイチだった一文が書き換えられ、「話の結末を 記号で分ける」という謎の一文に変わっています。しかし、お気に入りの表現に固執することなく、すぐに気持ちを切り替え、新しい言葉の組み合わせに対峙しなければなりません。よく考え、使用法として意味を成すよう、解釈を試みます。

例えば、いくつか出た案をスートで仕分ける、という解釈がありえるでしょう。あるいは、結末を仕分けて分類し、自作の記号を割り当てるのもありかもな、などと考えることができます。

ここで見るように文法リバーシでは、カードを1枚配置するごとに状況が変わります。よく考えて状況を乗り越えようと試み、満足感を得たかと思えば、次の瞬間には軽い喪失感を味わったりします。しかしそれが、より大きな達成感や喜びへとつながることがあるのです。このような現象は体験全体を貫いており、挑戦と発見を繰り返すそのプロセスは、感情を伴う知的冒険の機会をもたらします。


さらにプレイを進めて現れたのが、こちらの縦読み3枚。「1分以内で 語り合う ジョーカーで」に罰ゲーム感が漂っています。「ジョーカーで」を最後に付け足す、倒置法が効いているのでしょう。

白3枚が黒に裏返されたことで、「5分以内で 語り直す ジョーカーで」の一文において、「1分」は「5分」に増えており、さらに「語り合う」が「語り直す」になることで罰ゲーム感が増しています。


ここまで、文法リバーシで起きることを具体的に見てきました。このあと、リバーシの勝敗が決まるまでのプロセスを追うと、起きる現象のリストはさらに長くなることが容易に想像いただけるかと思います。

ちなみにこのあと、黒の大勝ムードとなったところで時間がなくなり、ゲームをやめました。このとき、大量の黒いカードをボキャブラリーにして考えた使い方と、3枚しか残らなかった白いカードをボキャブラリーにして考えた使い方が次のものです。

ゲームボードは、原稿用紙に早変わり。

:数字の小さい順に3枚ずつ話を進める。5分以内に考えたことをみんなでシェアする。飽きるまでジョーカードで様々なパターンに語り直す。話の結末を自分で忘れる。

:カードの束をシャッフルする。つないでいく。

黒は豊富なボキャブラリーを活かして、体験全体の流れを表現できています。しかし、少ない言葉数でズバッと言い切っている白もまんざらではない気はします。

みなさんは白と黒、どちらの使い方を試してみたくなりますか?

文法リバーシで、問いや気づきが生まれやすくなる様子が少しでも感じていただけたら幸いです。